ユニクロ中国ネット通販事業の評価について

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先日ユニクロはついに中国国内向けにネット通販事業をデビューさせました。中国国内の反響は大きいものでした。中国大手マーケティングリサーチ会社IResearchは独自のスキームを用いて、ユニクロの中国ネット通販事業を採点しました。
以下抜粋します。

中国Eコマースの評価スキーム

ターゲッティング、ブランディング、ウェブ制作、プロモーション、物流、アフターサービス、顧客管理を含め、7つの評価項目によって構成されています。
中国Eコマース評価するスキーム

ユニクロ中国通販事業評価結果

採点についてはGAP、ZARAなどの類似メーカーを参考にしているとのことです。
ユニクロ中国通販事業評価結果

比較的評価が高かったのは、ターゲッティングとブランディングの部分です。両者とも5点中4点を取りました。ウェブ制作や顧客管理は合格ラインの3点です。よくなかったのはプロモーション、物流、アフターサービスのようで、それぞれ2点しかとれませんでした。

ターゲッティング
TAOBAOの利用者は19-30歳に集中していて、収入は3000元(日本円5万円)以下のユーザーが全体の64.7%です。ユニクロの主力商品の価格帯はTAOBAOの利用者層と大枠で一致していて、都市部のホワイトカラーに適しています,両者の提携はお互いにメリットがあります。日本と事情が違うところとしては、中国は国土が広く、気候も実にさまざまです。よって、都市部以外の地方にも受け入れられるような商品を開発すれば、更なる市場拡大が狙えます。

■ブランディング
中国国内ではユニクロ実店舗のサービスの評判が良く、その効果も今回のネット通販ビジネスに波及しています。一方ユニクロのTaobaoオフィシャルショップも「良品保障」、「7日間以内で返品&取替え無料」などのサービスを実施しており、ユーザーの賛同と信用を得ています。Taobao信用評価システムでの得点は平均4.5以上です(満点は5点)。またオフィシャルサイトが開設される前に、TAOBAO上ですでにユニクロの商品を販売するショップは数軒存在していました。ユニクロのブランドを傷つけるような偽商品も交えているので、今回オフィシャルショップの開設はブランディングの面でも存在の意味が大きいと思われます。

■ウェブ制作
ユニクロTAOBAOオフィシャルサイトは、自社中国語オフィシャルサイトと相互リンクしています。中国の顧客がTAOBAOでの買い物に慣れている習慣をうまく利用しながらも、自社中国オフィシャルサイトの人気やトラフィックを増やしています。一石二鳥の提携です。ただサイト制作については、「MEN」、「WOMEN」、「KIDS MAGAZINE」、「GIRLS COLLECTION」などの単語を多用していて、ローカライズの面では改善できる余地があります。ウェブサイトについて、こちらの記事もご参照ください。

■プロモーション
中国進出期には、様々なセールスイベントを行い、中国の媒体にも取りあげられていました。しかし利用している媒体は専門性が高く、主に電子商取引をメインに扱っているものばかりです。一般消費者へのリーチ率は低いと思われます。いまユニクロの実店舗は中国の大都市しか確認できず、中国の地方都市での知名度はまだまだ低いので、百度GoogleやTaobaoなどのリスティングサービスを利用して、知名度の拡大を狙ったほうが得策だと言われています。

■物流
実店舗が少ないため、中国国内の類似メーカーより送料がやや高めです。中国国内のユーザーは送料や発送スピードについて、案外にシビアかもしれません。

■アフターサービス
良い点としては、中国のサイトでよく見かけるIMソフトによるオンラインサポートシステムを導入していて、商品、配達、アフターサービス三つの項目ごとにそれぞれ専任の担当が顧客をサポートする形を取っている点などがあげられます。逆に問題点として、IResearchは、一部の顧客サポートスタッフは自社商品やセールス手法に馴染んでいないと指摘しました。また返品について、ネットと実店舗で購入した商品を分けずに、お互い連携して、一括返品できるような体制を築いたほうがいいとアドバイスしました。

■顧客管理
ネットショップと実店舗の商品値段はあまり変わりませんが、「時間限定値下げ」セールスとポイント制が導入されています。しかし、問題なのは「時間限定値下げ」で、これは中国ユーザーにあまり受けません。筆者も実際にユニクロTaobaoショップから買い物した経験がありますが、「時間限定値下げ」について一中国ユーザーとして感想を述べさせてもらうと、「時間限定値下げ」の問題点は、時間が過ぎると元の値段に戻ることです。消費者からしたら、実質「値上げ」になってしまいます。特にネット販売の場合、数分前に990円で購入できたものが、1500円になってしまうケースもあるし、逆の場合もあります、1500円で購入した顧客が数分後に商品を確認して、なんと990円になっているのを見たら、悔しく思うのも仕方がありません。

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